西田文庫（西田外彦）

　物理学者の西田外彦（にしだ　そとひこ、1901–1949）の旧蔵書で、主として量子物理学、数学に関する洋書560冊からなる。
　西田外彦は、哲学者の西田幾多郎（にしだ　きたろう、1870–1945）の次男として生まれ、1926年京都大学理学部物理学科を卒業後、甲南高等学校の物理の教授を務めた。また、父・幾多郎の書簡集『永遠の影』（1948）を編集した。
　本文庫は、1968年に学習院大学が遺族より譲り受けたものである。1970年に遺族が西田幾多郎の蔵書を京都大学に譲渡した際、西田外彦の蔵書と認められるものが混ざっていたため、その分は遺族に返還され、学習院大学の所蔵となった。しかし、その後の山下正男（やました　まさお、1931–）の調査により、京都大学所蔵の西田幾多郎文庫に若干の西田外彦の蔵書が残っており、また、学習院大学所蔵の西田外彦文庫に西田幾多郎の蔵書と思われるものが混入していることが明らかになった。山下正男編集の『西田幾多郎全蔵書目録』（1983）には、調査の詳細や学習院大学の西田外彦文庫に収蔵されている西田幾多郎旧蔵書の目録が収録されている。