玄武洞文庫（田結荘金治）

　田結荘金治（たゆいのしょう　きんじ、1897–1978）が収集した『孝経』諸本約1,000冊（和漢書）からなる。近世から現代にかけての刊本が中心で、特に近世に刊行されたものに関しては、初印本・後印本のいずれかの種類において、ほとんどが網羅されている。稀覯書も少なくない。林羅山（1583–1657）をはじめ、山崎闇斎（1618–1682）、中江藤樹（1608–1648）、熊沢蕃山（1619–1691）、貝原益軒（1630–1714）、太宰春台（1680–1747）、片山兼山（1730–1782）、山本北山（1752–1812）、木村蒹葭堂（1736–1802）、屋代弘賢（1758–1841）等の訓点本、注釈書、校訂本などはすべて収められている。田結荘金治は、1937年に刊行した『家蔵孝経類簡明目録稿』に約600冊分の目録を収録し、その後も収集を続けた。『孝経』は儒教の経書（けいしょ）の一つで、孔子（前551–前479）と弟子の曽子（そうし、曽参　そうしん）との対話形式を通して「孝」について説いたものである。