北条文庫（北条時敬）

　教育者の北条時敬（ほうじょう　ときゆき、1858–1929）の旧蔵書の一部1,729冊（和書）からなる。内容は江戸期の地誌や武家関係資料であり、写本が半数以上を占める。
　北条時敬は金沢藩士の家に生まれ、1885年東京帝国大学理学部数学科を卒業。第四高等学校（金沢大学の前身）教諭となり、1898～1902年同校校長を務めた。のち東北帝国大学総長、学習院長、貴族院議員などを歴任した。北条は1927年に蔵書15,000冊を、日本青年館、広島高等師範学校、石川県図書館、第四高等学校等に分割寄贈した。このうち第四高等学校の譲り受けた分が金沢大学に引き継がれて北条文庫となった。そのほか、趣味であった謡曲と囲碁に関する書物はそれぞれ前田侯爵家と日本棋院に寄贈された。
　本文庫の目録として『北条文庫目録』（1976）が刊行されている。