福島文庫（福島正夫）

　法学者の福島正夫（ふくしま　まさお、1906–1989）旧蔵の法制史関係の和書4,978冊、中国語図書1,483冊、ロシア語図書698点からなる。地租改正、民法などの日本近代法制史、中国・ロシアなどの社会主義法関係の文献を含む。
　福島正夫は1929年東京帝国大学法学部を卒業。不動産会社に就職するが、治安維持法被疑事件で会社を辞めたのち、大学院に入った。1939年東亜研究所の研究員となり、中国の現地調査に参加。1941年徴兵され、ソ連抑留を経て、1947年に帰国した。1952年に東京大学東洋文化研究所講師となり、1961年教授に就任。1967年に定年退官後、早稲田大学の客員教授として1977年まで教壇に立った。研究領域は、日本近代法史研究の重要な領域をほとんど網羅し、さらに社会主義法研究の領域にも及んだ。著書に『地租改正の研究』（1962）、『日本資本主義と「家」制度』（1967）、『中国の法と政治：中国法の歴史・現状と理論』（1966、増訂版1970）などがある。
　本文庫は1991年に遺族より寄贈された。中国語図書の目録として『福島文庫（文庫23）目録：中国語図書の部』（1993）が、ロシア語図書の目録として『福島文庫目録』（早稲田大学比較法研究所編、1969）が刊行されている。和書データは図書館学術情報検索システム（WINE）に収録されている。