佐々木文庫（佐々木基一）

　文芸評論家、作家の佐々木基一（ささき　きいち、1914–1993）旧蔵の戦後派文学を主とした日本近代文学関係の図書8,905冊、雑誌463種からなる。佐々木の著作・自筆原稿・句帳や、佐々木が同人となった戦後の文芸雑誌『近代文学』（1946–1964）の原本などを含む。また、安部公房（あべ　こうぼう、1924–1993）が1947年にガリ版刷りで自費出版した『無名詩集』をはじめ、主要な戦後作家の署名入り献呈本が多数収蔵されている。
　佐々木基一は広島県で生まれ、1938年東京帝国大学美学科を卒業。大学在学中から文芸学やマルクス主義文学論の研究会を始め、1944年に治安維持法違反で検挙された。戦後、1946年に荒正人（あら　まさひと、1913–1979）らと『近代文学』を創刊。また花田清輝（はなだ　きよてる、1909–1974）、野間宏（のま　ひろし、1915–1991）、岡本太郎（おかもと　たろう、1911–1996）らと結成した「夜の会」は前衛芸術運動の拠点となった。テレビ・映画の評論、文芸、前衛芸術など多方面にわたり、戦後芸術の評論活動を行った。1965～1985年には中央大学教授を務めた。