元メキシコ大統領ポルフィリオ・ディアス文庫

　メキシコ大統領ポルフィリオ・ディアス（1830–1915）の旧蔵書に関連文献を加えた486件が収蔵されている。主にスペイン語文献で、若干の英語・仏語文献が含まれる。ディアスが亡命した際に官邸に残していった個人蔵書、メキシコ政府の布告・法令などの公文書、手稿、電報などから構成されている。メキシコの近現代史研究に貴重な資料である。
　ポルフィリオ・ディアスは、1876年武力で大統領を追放して政権を掌握し、翌年選挙によって大統領に就任した。憲法で大統領の2期連続の就任は禁じられていたため、1880年に一旦盟友マヌエル・ゴンザレス（1833–1893）に大統領の座を譲ったが、1884年に再び大統領になると、憲法の再選禁止条項を修正して1911年まで大統領の座についた。この間35年にわたり事実上の独裁体制を敷いた。ディアスは大地主階級を保護し、外国資本を導入することにより、目ざましい経済成長と近代化を成し遂げた。しかし、一方で激しい貧富の差と不公平が生じ、民衆の不満が高まった。1910年11月に米国に亡命中フランシスコ・インダレシオ・マデーロ（1873–1913）が全国一斉蜂起を呼びかけると、反独裁運動はメキシコ革命へと発展。翌年ディアスはパリへの亡命を余儀なくされた。
　本文庫は1982年度に購入された。目録として『元メキシコ大統領ポルフィリオ・ディアス文庫』（1986）が刊行され、図書館ホームページでも目録が公開されている。なお、ディアスの旧蔵書はメキシコのイベロアメリカ大学にも所蔵されている。