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グラバー図譜(トマス・アルバート・グラバー、倉場富三郎)

 倉場富三郎(くらば とみさぶろう、英名:トマス・アルバート・グラバー、1870–1945)が、長崎の魚市場に水揚げされた約600種の魚類を5人の画家に描かせて編集・作成した全32集800余図の彩色魚譜のコレクションである。グラバー図譜の正式名称は『Fishes of Southern & Western Japan』(日本西部及び南部魚類)であり、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796–1866)の『日本動物誌』の中の魚類図、栗本丹洲(くりもと たんしゅう、1756–1834)の『栗本魚譜』、熊田頭四郎(くまだ とうしろう)の『熊田魚譜』とともに、日本四大魚譜の一つに数えられている。なお、グラバー図譜の絵を描いた画家は小田紫星(おだ しせい、1878–1913)、萩原魚仙(はぎわら ぎょせん、1873頃–1942)、長谷川雪香(はせがわ せっか、1874–1937)、中村三郎(なかむら さぶろう、1887–1922)、井上寿一(いのうえ じゅいち、1887–没年不明)の5人である。
 倉場富三郎は、幕末に長崎にグラバー商会を設立した英国商人トマス・ブレイク・グラバー(1838–1911)と、日本人女性の加賀マキの子として長崎で生まれた。学習院を卒業後、米国ペンシルバニア大学医学部予科で生物学を学び、日本に帰国後、グラバー商会を引き継いで設立されたホーム・リンガー商会で重役を務めた。さらにホーム・リンガー商会が設立した長崎汽船漁業の専務取締役に就任し、長崎の水産業の発展に尽力した。
 本文庫は、倉場富三郎から遺贈を受けた渋沢敬三(しぶさわ けいぞう、1896–1963、元・大蔵大臣、日銀総裁)が、1950年に長崎大学水産学部に寄贈した。原図を写真版に縮小した『グラバー図譜』(全5巻、1973–1976)が刊行されている。また、図書館ホームページでデータベース(画像)が公開されている。

<http://oldphoto.lb.nagasaki-u.ac.jp/gloveratlas/>

事項:

グラバー、トマス・アルバート; グラバー、トマス・ブレイク; シーボルト、フィリップ・フランツ・フォン; 中村三郎; 井上寿一; 倉場富三郎; 小田紫星; 日本の漁業史; 栗本丹洲; 海洋生物学; 渋沢敬三; 漁業史、日本の; 熊田頭四郎; 萩原魚仙; 長谷川雪香 魚類学

専門分野:

水産学

所蔵機関:

長崎大学附属図書館

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