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メンガー文庫(カール・メンガー)

 オーストリアを代表する経済学者カール・メンガー(1840–1921)の旧蔵書の一部約20,000冊が収蔵されている。内容は、経済学、社会思想の古典を中心に、法学、歴史学、社会学、民族誌、旅行記、統計類など多方面にわたる。言語もラテン語をはじめヨーロッパの十数か国語の文献からなる。メンガーによる書き入れ本や講義用のメモ、カード目録、書簡、肖像画、デスマスクを含む。なお、旧蔵書のうち文芸関係書は夫人に、自然科学と哲学関係の図書の大部分は息子で数学者のカール(Karl、1902–1985、カール・メンガーのカールCarlとはKとCの違いがある)に遺贈された。息子カールが所蔵していたC・メンガーの哲学関係の蔵書は、その後1959年頃モントリオール大学図書館に売却され、一般図書と混配された。また、息子カールを経て、孫のイブ・メンガー(化学者)が所蔵していたC・メンガーの手書き原稿、ノート、書簡、書き込み多数の自著等約3,000点が、1987年にデューク大学に寄贈された。
 メンガーはオーストリア学派の創始者の一人で、スイスのレオン・ワルラス(1834–1910)、イギリスのウィリアム・スタンリー・ジェボンズ(1835–1882)と共に、近代経済学の基礎を作った。ウィーン大学、プラハ大学で法学を学び、クラクフ大学で法学博士の学位を取得。その後、総理府の新聞局で市場報告書作成に携わるうちに価格理論に関心を抱き、1871年に『国民経済学原理』を発表。1872年ウィーン大学の講師となり、員外教授を経て1879年経済学教授となった。1883年『経済学と社会学の諸問題』を刊行。没後の1923年に『国民経済学原理』の改訂版が公刊された。
 本文庫は1922年に夫人より購入され、目録として『東京商科大学附属図書館カール・メンガー文庫目録』(1926)、『一橋大学附属図書館カール・メンガー文庫目録II』(1955)が刊行されている。なお、カール・メンガーの蔵書の経緯や内容については「カール・メンガー文庫の思い出」(大塚金之助著、『一橋大学附属図書館史』1975年所収)、「カール・メンガー文庫覚書」(岡崎義富著、『大学図書館研究』18号、1981年5月所収)、「カール・メンガー文書」(馬渡尚憲著、『経済評論』37巻5号、1988年5月所収)に詳しい。

<http://www.lib.hit-u.ac.jp/CHSSL/collection/index.html>

 

関連文庫:
メンガー文庫: カール・メンガー

事項:

Wiener Schule, moderne Wirtschaftstheorie; オーストリア学派の経済学; ジェヴォンズ、ウィリアム・スタンリー; メンガー、カール; ワルラス、マリー・エスプリ・レオン; 大塚金之助; 安井琢磨; 岡崎義富; 経済史、西洋の; 経済学史; 経済理論; 西洋の経済史; 限界効用理論 馬渡尚憲

専門分野:

経済学

所蔵機関:

一橋大学社会科学古典資料センター

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