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西蔵大蔵経

 チベット学者の多田等観(ただ とうかん、1890–1967)が、チベットから請来したデルゲ版西蔵大蔵経4,569部、西蔵撰述仏典2,083部、計6,652部からなる。
 多田等観は1912年インドに渡り、ダライ・ラマ13世トゥプテン・ギャツォ(1875–1933)の知遇を得て、翌年、苦難の道のりを経てチベットの首都ラサに到着した。以後10年間セラ学問寺で僧院生活を送りながら仏教を学び、外国人として初めてゲシェー(博士)の学位を取得した。1923年に日本に帰国する際、ダライ・ラマ13世の好意により貴重なチベット仏教の文献・資料を多数持ち帰った。帰国後は、東京帝国大学、東北帝国大学、慶応義塾大学、カリフォルニア大学の講師を歴任した。
 西蔵大蔵経はチベット語に翻訳したインドの仏典の集大成であり、カンギュル(仏説部)とテンギュル(論疏部)からなる。現存する四大西蔵大蔵経は、開版された地あるいは寺院の名まえから、デルゲ版(1729–1744)、ナルタン版(1730–1742)、北京版(1684–1724)、チョーネ版(1733–1773)と呼ばれている。このうちデルゲ版カンギュルは最も正確で印刷が鮮明であるといわれている。東北大学のデルゲ版大蔵経は、多田が日本に帰国する際、ダライ・ラマ13世より与えられた3揃のうちの1揃である。さらに多田がチベット滞在中に収集した西蔵撰述仏典(チベット人自身の著作による仏典)に関しても貴重な資料が収蔵されている。
 目録として『西蔵大蔵経総目録』(1934)、『西蔵撰述仏典目録:東北大学蔵版』(1953)が刊行されている。なお、多田がチベットから請来した文献・資料は東北大学のほかに、東京大学および戦時中に疎開した岩手県花巻市に所蔵されている。また、河口慧海(かわぐち えかい、1866–1945)が主にチベットから持ち帰った仏像・仏画・仏具などの造形資料約1,200点、動植物の標本約250点が、東北大学文学部東洋・日本美術史研究室に所蔵されている。このうち造形資料の目録が『河口慧海請来チベット資料図録』(1986)として刊行されている。

<http://www.library.tohoku.ac.jp/collect/collect.html>

 

関連文庫:
チベット大蔵経(ラサ版/デルゲ版/ナルタン版):

チベット語文献: 河口慧海

チベット蔵外文献: 多田等観、青木文教

事項:

Tibetica, Tripitaka; Xizang Dazangjing; インド・チベット学; インド学; ダライ・ラマ13世トゥプテン・ギャツォ; チベット(西蔵); チベット仏教(ラマ教); チベット学; トリピタカ; ラマ教(チベット仏教); 中央アジア; 仏教; 多田等観; 大蔵経; 河口慧海 西蔵大蔵経

専門分野:

宗教学

所蔵機関:

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