マザラン文庫（ジュール・マザラン）

　1648年から1653年にかけてフランスで起こったフロンドの乱に際して刊行された政治的パンフレット類「マザリナード」約2,800点が収蔵されている。フロンド研究や17世紀フランスの社会史、政治史を研究するための貴重な資料である。
　フロンドの乱は、幼少の国王ルイ14世に代わり政治的実権を握った宰相ジュール・マザラン（1602–1661）に対して高等法院や貴族が引き起こした反乱であり、農民一揆や都市暴動と結びつき全国的な内乱にまで発展した。マザランへの批判文書や反駁文書が飛び交い、激しい文書合戦が繰り広げられた。このとき刊行された宣伝文書、論駁書、諷刺詩などを総称して「マザリナード」と呼んでいる。パリのマザラン図書館には12,500点以上の関係文書が収蔵されている。またマザリナードの体系的研究に取り組んだセレスタン・モローは『マザリナード目録』（全3巻、パリ、1850–1851）を刊行し、同書に4,300点を超える文書を収録した。
　本文庫は1978年に購入されたものであるが、モローの上記目録に収録されていないマザリナードが233点含まれている。購入時のリストと共に、『マザリナード目録』を目録として使用している。