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箕作文庫(箕作麟祥)

 法学者の箕作麟祥(みつくり りんしょう、1846–1897)の旧蔵書の一部で、和書1,800冊、洋書90冊からなる。
 箕作麟祥は明治期の啓蒙的官僚学者で、民法・商法などの法典編纂に貢献した。幕末に江戸幕府の蕃書調所(のち開成所)や外国奉行に出仕し、1867年にパリ万国博覧会随行員として渡仏。翌年までフランスで学び、明治維新直後に帰国した。帰国後は明治政府に出仕し、開成所御用掛などを務めた。当初、政府はフランス民法の翻訳を、そのまま日本の民法にしようと計画し、司法卿の江藤新平(えとう しんぺい、1834–1874)を通じて、箕作にフランス民法の翻訳を命じた。1870(明治3)年に民法編纂会議が江藤新平を会長として発足し、箕作の翻訳したフランス民法をもとに討議を重ねた。しかし、フランス民法をそのまま日本の民法として実施することは不可能であることが明らかとなると、1880(明治13)年元老院民法編纂局は、司法省御用外人として1873(明治6)年に来日していたフランス人法学者ギュスターヴ・ボワソナード(1825–1910)に民法草案の起草を命じた。一方、商法はドイツの法学者ヘルマン・ロエスレル(1834–1894)が起草者として任命され、1881(明治14)年に編纂が開始された。元老院議官となっていた箕作は、民法・商法の編纂事業の中心として、ボワソナードの起草した草案の翻訳や討議の通訳を行った。1890(明治23)年にようやく民法・商法が議会に提出され公布されたが、両法に対する批判が大きく、1893(明治26)年に両法の施行延期が決定。新たに法典調査会が設置され、梅謙次郎(うめ けんじろう、1860–1910)、穂積陳重(ほづみ のぶしげ、1856–1926)、富井政章(とみい まさあきら、1858–1935)の3人が起草委員となった。箕作は法典調査会主査委員や貴族院議員として討議に参加し、法典調査会の討議がほぼ終了した翌年に亡くなった。民法は1896(明治29)年と1898(明治31)年の2回に分けて、商法は1899(明治32)年に公布された。
 本文庫は、1923年に男爵箕作祥一(みつくり しょういち、1920–1968)より寄贈され、法学部図書室に所蔵されている。

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事項:

Bürgerliches Recht; Privatrecht; Wissenschaften, westliche; ボアソナード・ド・フォンタラビー、ギュスターヴ・エミール; ロエスレル、ヘルマン; 富井政章; 日本の法制史; 明治時代; 明治維新; 梅謙次郎; 民法; 江藤新平; 法制史; 法制史、日本の; 洋学; 穂積陳重 箕作麟祥

専門分野:

法律学

所蔵機関:

東京大学法学部図書室

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