ダンテ・コレクション

　イタリアの詩人ダンテ・アリギエーリ（1265–1321）の著作、翻訳書、研究書236冊（洋書）からなる。この中には1481年版『神曲』をはじめとした15～16世紀の刊本17点が含まれている。
　ダンテはフィレンツェの小貴族の家に生まれ、9歳のときに生涯の恋人ベアトリーチェ・ポルティナーリ（1265頃–1290）を見初めた。ダンテとベアトリーチェは、それぞれ別の人と結婚生活を送ったが、1290年にベアトリーチェが若くして世を去ると、ダンテは彼女への情熱を自伝的物語の形態をとる叙情詩集『新生』（1293頃）に記した。1295年頃からダンテは政治活動を行うようになり、当時フィレンツェで起こっていたローマ教皇庁と神聖ローマ皇帝の勢力争いに巻き込まれ、ついには市外追放の身となった。亡命生活を送りながら代表作『神曲』を書き上げ、ラベンナの地で没した。『神曲』は、ラテンの詩人ウェルギリウスに導かれて地獄と煉獄を旅したのち、ついにベアトリーチェに導かれて天国へと到達するという物語を描く壮大な詩編である。
　ダンテの著作には多くの画家が挿絵を描いており、挿絵といった観点からも興味深いコレクションとなっている。1987年度に購入された。図書館OPACでキーワード「ダンテ・コレクション」にて検索が可能である。