モース文庫（エドワード・シルベスター・モース）

　アメリカの動物学者エドワード・シルベスター・モース（1838–1925）の旧蔵書である。日本関係および自然科学関係の洋書12,000冊からなる。
　モースは貝の収集から動物学の道に入り、アメリカの動物学の父と呼ばれるハーバード大学教授ルイ・アガシー（1807–1873）のもとで学んだのち、ボードウィン大学、ハーバード大学などの教授を歴任した。1877（明治10）年腕足類の研究のために来日。同年開設された東京帝国大学理学部生物学科の教授に招かれ、2年間にわたって動物学を講じた。ダーウィンの進化論を初めて日本に紹介するなど日本近代動物学の基礎を築いた。また、日本に滞在中に大森貝塚を発見し、日本の考古学・人類学に大きく貢献した。1882（明治15）年に再来日した際は、陶器の収集と日本の制度や風習の研究に専念した。収集した日本陶器4,646点はボストン美術館に収蔵された。モースの日本滞在記である『日本その日その日』は明治初期の日本を知る重要文献である。
　モースの没後、蔵書が遺言により東京大学へ寄贈された。文庫カード目録が総合図書館参考室に備え付けられている。