ジェレミー・ベンサム著作コレクション

　功利主義を提唱したイギリスの法学者・哲学者のジェレミー・ベンサム（1748–1832）の著作約110冊（洋書）のコレクションである。ベンサム派の下院議員で議会改革に取り組んだサー・フランシス・バーデット（1770–1844）の旧蔵書と、アメリカの政治家でベンサムと交流があったエドワード・リヴィングストン（1764–1836）の旧蔵書を1985～1986年に購入し、その後に追加購入した著作を合わせて文庫が構成されている。ベンサムの生前に出版された著作のほとんどすべてを網羅しており、『パノプティコン』（1791年ダブリン版）や、試作本の『憲法典』を含む。
　ベンサムは12歳でオックスフォード大学に入学し、15歳でリンカーンズ・イン法学院に進んだ。1772年に弁護士資格を取得するが、弁護士業に興味が持てず、法改革、法典化の問題に取り組んだ。『政治論断片』（1776）、『道徳と立法の諸原理序説』（1789）を発表して功利主義を主唱し、「最大多数の最大幸福」があらゆる行為と立法の適切な目的であると説いた。1791年に『パノプティコン』を発表して理想的刑務所建設計画の採択を政府に進言したが、最終的に議会で不採用とされた。1830年には政治改革への関心の集大成である『憲法典』を刊行した。その他多数の著書を執筆し、内容は法学関係のみならず、経済、政治、哲学、教育、宗教などに及んだ。
　本文庫の目録として『ジェレミー・ベンサム著作解題目録』（1989）が刊行されており、図書館ホームページで所蔵リストが公開されている。