吉永登文庫

　万葉集の研究者、吉永登（よしなが　みのる、1906–1989）の旧蔵書で、主に契沖（けいちゅう、1640–1701）に関する、明治期以前の和装本1,205冊からなる。
　吉永登は1927年関西大学専門部文学科を卒業。1943年同大学教授に就任し、退官後、名誉教授となった。園田学園女子大学の開学にも協力した。
　契沖は江戸時代前期の国学者で、古典の注釈や歴史的仮名遣いの研究において業績を残した。水戸藩主徳川光圀（とくがわ　みつくに、1628–1700）の依頼を受け、『万葉集』の注釈書である『万葉代匠記』の執筆に着手し、1690年に完成。他に古今和歌集の注釈書『古今余材抄』（10巻）、伊勢物語の注釈書『勢語臆断』（4巻）、源氏物語の注釈書『源註拾遺』（8巻）などを著した。
　本文庫の目録として『吉永文庫目録』が作成されている。