暁烏文庫（暁烏敏）

　石川県松任市の真宗（浄土真宗）大谷派明達寺（みょうたつじ）の元・住職、暁烏敏（あけがらす　はや、1877–1954）の旧蔵書約5万冊（和書約47,500冊、洋書約2,500冊）が収蔵されている。仏教書を中心に人文・社会科学系の図書が幅広く収集されている。
　暁烏敏は真宗大学（現・大谷大学）を卒業後、東京外国語学校（現・東京外国語大学）ロシア科に進むが中退し、1900年明達寺の住職を継いだ。精神主義を唱えて仏教の改革運動を進めていた清沢満之（きよざわ　まんし、1863–1903）の浩々洞（こうこうどう）に入り、機関誌『精神界』を編集。この中で連載した「歎異抄を読む」はのちに『歎異抄講話』（1911）として刊行され、暁烏の主著となった。昭和初期より日本精神を研究し、真宗大谷派の革新運動を展開。1951～1952年には真宗大谷派東本願寺の宗務総長を務めた。
　本文庫は、第二次世界大戦後、石川師範学校が新制金沢大学に移行する際に図書の充実を図るため暁烏より寄贈された。『暁烏文庫仏教関係図書目録』（1963）には仏教関係書約13,500冊の目録が収録されている。