本間久雄文庫

　評論家、英文学者、近代文学研究者の本間久雄（ほんま　ひさお、1886–1981）旧蔵の近代文学関係の刊行図書1,895冊、自筆稿本・書簡類762点、雑誌・新聞115種からなる。文人、作家、画家等の自筆による書簡・日記・原稿・書画等の生の資料が豊富である。特に、坪内逍遥（つぼうち　しょうよう、1859–1935）、島村抱月（しまむら　ほうげつ、1871–1918）などの早稲田大学関係の諸家の自筆本、尾崎紅葉（おざき　こうよう、1867–1903）の硯友社関係の資料、黎明期文学の先覚者の一人である山田美妙（やまだ　びみょう、1868–1910）の自筆稿本類が多数含まれている。
　本間久雄は山形県米沢市に生まれ、坪内逍遥、島村抱月を慕って早稲田大学英文学科に入学。1909（明治42）年卒業後、英国の詩人・作家オスカー・ワイルド（1854–1900）を研究し、スウェーデンの女性思想家・教育家エレン・ケイ（1849–1926）を日本に紹介した。1914（大正3）年早稲田文学社に入り、1918～1927（昭和2）年島村抱月のあとを継いで『早稲田文学』を主宰。英国留学を経て、1931年早稲田大学文学部教授に就任し、英文学の講座を担当するとともに、国文学科で明治文学史を講じた。1957年定年退職して名誉教授となり、その後、実践女子大学、立正大学教授を務めた。著書に『明治文学史』（全5巻、1935–1964）、『真蹟図録：明治大正文学資料』（1977）などがある。
　本文庫は、本間久雄から1978年以降4回にわたって購入された。目録として『本間久雄文庫目録』（1990）が刊行されている。また、本文庫の資料の一部は前述の『真蹟図録：明治大正文学資料』に収録されている。