近代文学研究者の柳田泉(やなぎだ いずみ、1894–1969)旧蔵の和漢書8,752冊、洋書830冊、自筆稿本・抜書・抜刷・新聞切抜・雑誌等1,016点からなる。近代文学関係を中心に、幕末から昭和40年代にかけての多様な種類の資料が収められている。特に明治期の資料に貴重なものが多い。田山花袋(たやま かたい、1871–1930)、幸田露伴(こうだ ろはん、1867–1947)をはじめとする小説類、三宅雪嶺(みやけ せつれい、1860–1945)、徳富蘇峰(とくとみ そほう、1863–1957)らを中心とする社会評論・政冶評論、1882(明治15)年に刊行された日本最初の近代詩集『新体詩抄』をはじめとする新体詩類、幕末から明治中期にかけて刊行された400部にも及ぶ草双紙などが含まれる。 柳田泉は1918(大正7)年早稲田大学文学部英文科を卒業後、春秋社の『トルストイ全集』に訳者として参加。関東大震災(1923)を機に明治文学の研究に取り組み、吉野作造(よしの さくぞう、1878–1933)によって創立された明治文化研究会に参加して『明治文化全集』(1927–1930)の編集に従事した。1935(昭和10)年から30年間早稲田大学の教壇に立ち、1941年からは教授を務めた。明治文学研究の先駆者として多くの業績を残し、著書に『明治初期の翻訳文学』(1935)、『政治小説研究』(1935–1939)、『田山花袋の文学』(全2巻、1957–1958)などがある。 本文庫は1971年に遺族より寄贈され、目録として『柳田泉文庫目録』(1988)が刊行されている。
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