教林文庫（辻井徳順）

　滋賀県蒲生郡（がもうぐん）安土町（あづちちょう）にある天台宗観音正寺（かんのんしょうじ）の坊舎である教林坊（きょうりんぼう）の住職、辻井徳順（つじい　とくじゅん、1864–1952）が収集した仏教書（特に天台宗関係）約2,000冊からなる。仏教書のほか、社寺縁起類、説話集、諸記録なども含む。
　辻井徳順は滋賀県で生まれ、天台宗真盛（しんせい）派の別格本山・西来寺（せいらいじ）住職として真盛派で活躍すると同時に、延暦寺本山の山林経営に尽力するなど山門派のためにも尽くした。1884（明治17）年願成就寺（がんじょうじゅじ）の住職になり、その後は教林坊、観音正寺、東南寺など生涯の大半を近江近辺の寺で過ごした。教化と学問僧としての勉学に努め、明治時代の天台学僧三徳の一人と云えられている。
　本文庫は1957年に遺族から譲り受けた。目録として『国文学研究資料館文献資料部調査研究報告』第6号に「早稲田大学図書館蔵教林文庫目録稿」が収録されている。