小説家、劇作家、評論家の坪内逍遥(つぼうち しょうよう、1859–1935)の旧蔵書の一部で、和漢書3,824冊、洋書1,258冊が収蔵されている。旧蔵書のうち、演劇関係の資料は早稲田大学坪内博士記念演劇博物館に所蔵されており、伊豆・熱海等の地誌関係の資料は熱海市立図書館に収められている。早稲田大学中央図書館で所蔵しているのは、それ以外の一般書である。1949年に国劇向上会より譲渡された。 坪内逍遥は1883(明治16)年東京大学文学部政治経済学科を卒業後、直ちに東京専門学校(現・早稲田大学)の講師(のち教授)となった。1885~1886年に日本最初の体系的小説論といわれる『小説神髄』を発表。この中で逍遥は写実主義を唱え、日本近代文学の端を開いた。1890(明治23)年に東京専門学校に文学科を創設し、翌年機関紙『早稲田文学』を創刊。その後、歌舞伎などの伝統演劇の改良に努め、『桐一葉』(1894–1895)などの新史劇を発表した。1906(明治39)年島村抱月(しまむら ほうげつ、1871–1918)を支援して文芸協会を設立し、俳優を養成しながら新劇運動の基礎を築いた。晩年にはシェイクスピア作品の日本初の全訳を完成させた。1928(昭和3)年に早稲田大学坪内博士記念演劇博物館が創建された。
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