ドープシュ=パッツェルト文庫（アルフォンス・ドープシュ、エルナ・パッツェルト）

　オーストリアの歴史学者アルフォンス・ドープシュ（1868–1953）とその弟子エルナ・パッツェルト（1894–1987）の旧蔵書で、中世ヨーロッパの経済史、法制史、文化史関係の洋書2,354冊、パンフレット類約10,000冊が収蔵されている。
　ドープシュはボヘミア（現在のチェコ共和国西部）で生まれ､ウィーン大学でオーストリア史と欧州史を学び､1890年に博士学位を取得した｡1898年同大学助教授、1900年教授に就任し、歴史学全般とオーストリアの歴史を講じた｡1920～1921年学長を務め、ウィーン大学に経済史・文化史研究室を創設した｡主著『ヨーロッパ文化発展の経済的社会的基礎：カエサルからカール大帝にいたる時代の』（1918–1920）は、野崎直治、石川操、中村宏らによって1980年に邦訳されている。
　パッツェルトはウィーンで生まれ、ウィーン大学で歴史学、経済史学とドイツ文学・ドイツ語学を学び､1918年に博士学位を取得した｡1922年からドープシュの経済史・文化史研究室の研究員となり、大学教授資格を取得｡1932年助教授となり、1945年経済史・文化史研究室の室長となった｡
　本文庫の目録として『ドープシュ=パッツェルト文庫目録』（1971）が刊行されている。