堀田善衛文庫

　小説家の堀田善衛（ほった　よしえ、1918–1998）の旧蔵書のうち、洋書480冊を文庫とした。内容は、ゴヤ（1746–1828）、ミシェル・ド・モンテーニュ（1533–1592）、ラ・ロシュフーコー（1613–1680）公爵、カタリ派、スペイン史に関する文献で構成されている。
　堀田善衛は慶応義塾大学政治学科から仏文科に転科し、在学中に詩誌『荒地』の同人となった。1942年大学を卒業後、国際文化振興会に就職し、1945年3月に中国に派遣された。上海で敗戦を迎えたが、中国国民党宣伝部に徴用されたため、1947年まで中国に滞在した。帰国後、『世界日報』記者を経て、作家生活に入った。1951年に発表した『広場の孤独』、『漢奸』（かんかん）が、翌年、芥川賞を受賞。次いで、上海での敗戦前後の体験を描いた『祖国喪失』（1952）、戦後に上海で起きた暴動に取材した『歴史』（1952）、日本軍占領下の南京を中国知識人の立場から描いた『時間』（1953）などを発表した。そのほか、評伝『ゴヤ』（1974–1977）、モンテーニュを描いた『ミシェル城館の人』（1991–1994）、『ラ・ロシュフーコー公爵伝説』（1998）などの作品がある。
　本文庫は明治学院大学名誉教授清水徹（しみず　とおる、1931–）の仲介により堀田家より寄贈された。『堀田善衛文庫目録』（1999）が作成されており、図書館ホームページで目録が公開されている。