ドイツ表現主義文庫

　オランダの国際文化センターが収集したドイツ表現主義に関するコレクションを、フランクフルト郊外の書店を通じて1985年に購入したものである。洋書662冊、洋雑誌114冊（42タイトル）からなる。
　ドイツ表現主義は20世紀初頭から第一次世界大戦後にかけて盛んとなった文学・芸術思潮で、外界の印象に基礎を置く印象主義に対して、内面の表出をめざし、作者個人の強烈な主観を通して対象を変形・歪曲して表現することを特徴とする。本文庫にはフランツ・カフカ、ゴットフリート・ベン、クルト・ヒラー、エルゼ・ラスカー=シューラー、エルンスト・トラー、ベルトルト・ブレヒト等表現主義文学の中枢を担った作家たちの作品が中心に収集されている。特にラスカー=シューラーの作品は豊富で、彼女の献辞、自筆書簡、自筆版画入り限定本なども含まれている。また、ヴァシリー・カンディンスキーとフランツ・マルクの『青い騎士』、クルト・ピントゥス編集によるドイツ表現主義のアンソロジー『人類のあけぼの』（1920）、クルト・ヴォルフ社から1913～1921年に86冊出版された叢書『デア・ユングステ・ターク』なども収蔵されている。
　本文庫の目録として『獨協大学図書館所蔵ドイツ表現主義文庫目録』（1997）が刊行されており、図書館ホームページで目録が公開されている。