深沢文庫（深沢宏）

　社会経済史学者の深沢宏（ふかざわ　ひろし、1931–1986）旧蔵のインド経済史を中心とする洋書3,192冊からなる。英語（約2,000冊）、マラーティ語（約250冊）、ペルシア語（約250冊）を中心に、サンスクリット語、ラージャスタニー語、ヒンディー語、ウルドゥー語などの文献が含まれている。特にマラーティ語、ペルシア語の歴史資料は貴重で、植民地期インドの各種資料も豊富である。深沢が一橋大学在職中に附属図書館のために選書した歴史文献を併せると、中世以降の西部インドの社会経済史的研究に必要な基本文献をほぼ網羅している。
　深沢宏は1953年一橋大学経済学部を卒業後、大学院に進み、さらに1956年にインド政府給費留学生としてインドのラクナウ大学に留学。同大学においてインド近代綿業発達史に関する論文で博士学位を取得した。マラーティ王国の旧都プネーで現地語の習得と資料の収集に努め、1960年に帰国。一橋大学の助教授を経て1972年教授に就任した。インド社会経済史、南アジア経済の研究に業績を残した。
　本文庫は1991年に購入され、蔵書リストが図書館ホームページの「一橋大学附属図書館所蔵文庫・コレクション・特殊資料紹介」で公開されている。