トレンドレンブルクとクライヤーの薬理学･生理学論文別刷コレクション（パウル・トレンドレンブルク、オットー・クライヤー）

　本文庫のオリジナルのタイトルは「Trendelenburg & Krayer’s Collection of Scientific Papers」である。パウル・トレンドレンブルク（1884–1931）と、その弟子オットー・クライヤー（1899–1985）両教授に献呈された薬理学・生理学分野の論文別刷308冊15,300点のコレクションである。19世紀末から20世紀中頃までの薬理学・生理学の発展をたどることができる貴重な資料で、ノーベル賞受賞者など著名な学者自筆の献辞や署名のある別刷も見られる。
　トレンドレンブルクはボンで生まれ、ロストック、フライブルク、ベルリンの各大学の薬理学教授を歴任した。副腎のアドレナリン分泌などホルモンの生理・薬理学機構に関する世界的な権威で、弟子のクライヤーと共に『ホルモンの生理学と薬理学』（全2冊、1929–1934）を刊行した。クライヤーは一時期ベルリン大学で教壇に立ったが、ナチスの迫害を避けて1937年に米国のハーバード大学に転じた。彼は米国に移ったのちも恩師の遺志を継いで論文別刷の収集を継続していた。
　1956年に当時東北大学医学部薬理学教授だった橋本虎六（はしもと　ころく、1911–1990）がハーバード大学にクライヤーを訪ねた際、本コレクションの寄贈を受けた。