岩手県九戸(くのへ)郡大野村の晴山吉三郎(はるやま きちさぶろう)家に伝来した経営関係資料で、1778年から1946(昭和21)年まで約170年に及ぶ文書6,531点が収蔵されている。この地方は江戸時代から第二次世界大戦後の農地改革にいたるまで名子制度と呼ばれる封建制度が存続していたことで有名である。 晴山吉三郎家は1778年に本家から分家した吉三郎が祖となり、当主は代々吉三郎を名のった。江戸時代には農業のほか、商業、牧畜、製鉄、酒造等を大規模に営み、名字帯刀を許されるまで実力を伸ばした。明治時代に入ると酒造業を中心に、商業や農林業を発展させ、大地主に成長。名子(地主から家屋敷を与えられ、労働力を提供する隷属農民)を抱え、賦役を受け取っていた。 名子制度を研究した東北大学教授の木下彰(きのした あきら、1903–1982)が晴山家と折衝し、1951年に東北大学が本文書を購入した。『晴山文書目録:東北大学附属図書館所蔵』(1997)が刊行されている。また大野村によるマイクロフィルム化事業が進められている。
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