詩人、英文学者の土井晩翠(どい ばんすい、1871–1952)旧蔵の文学、思想関係の和漢書1,050冊、洋書1,574冊が収蔵されている。英文学、漢文学、仏教書、西洋思想など内容は多岐にわたり、書き入れ本や手沢本が多い。夏目漱石(なつめ そうせき、1867–1916)やアルベルト・アインシュタイン(1879–1955)からの書簡も含まれている。 土井晩翠は仙台で生まれ、第二高等中学校(のち第二高等学校)を経て、1897(明治30)年東京帝国大学の英文学科を卒業。大学在学中から『帝国文学』の編集委員となり、詩作を始めた。1898年中学唱歌として作詞した「荒城の月」は、滝廉太郎(たき れんたろう、1879–1903)の作曲で、現在まで愛唱され続けている。1899年第1詩集『天地有情』を発表し、島崎藤村(しまざき とうそん、1872–1943)と並ぶ新体詩運動の中心となった。1900年第二高等学校教授となり、以後1934年まで34年間在職した。1901~1904年欧州に留学。1924(大正13)年には東北帝国大学講師を兼任し、英語、英文学を講じた。ホメロスの翻訳書『イーリアス』(1940)、『オヂュッセーア』(1942)などでも知られる。 晩翠は1945年の仙台空襲で蔵書の約8割を焼失した。晩翠文庫は、その際に焼け残った本と、その後購入された書籍から構成されている。1965年に遺族から購入された。
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