中村文庫（中村吉治）

　経済史学者の中村吉治（なかむら　きちじ、1905–1986）旧蔵の日本経済史・社会史関係の和書4,076冊、洋書136冊からなる。日本経済史・社会史関係の基礎資料・研究資料が広く収集されており、特に農民・村一揆、共同体関係の資料が多い。
　中村吉治は1929年に東京帝国大学文学部史学科卒業後、同大学史科編纂所に入所。1933年に東北帝国大学の助教授に就任し、経済史を担当した。1941年教授に昇進。1968年の定年退官まで研究と教育に尽くす一方、大学の評議員、附属図書館長、東北大学五十年史編集委員長、経済学部長を歴任し、日本学術会議会員を務めるなど、学内外の行政にも尽力した。専門は日本経済史および社会史で、日本封建社会や村落共同体を実証的研究により解明し、44冊に及ぶ編著書と80編を超える論文を執筆した。『近世初期農政史研究』（1938）、『日本社会史』（1952）、『村落構造の史的分析：岩手県煙山村』（1956）、『解体期封建農村の研究：諏訪藩今井村』（1962）、『日本封建制の源流』（全2巻、1984）などの著書がある。
　本文庫は1988年に図書館に受け入れられた。目録として『中村文庫目録』（1991）が作成されている。