近世文学研究者の角田一郎(つのだ いちろう、1907–)が収集した農村舞台、地方歌舞伎芝居、地方人形芝居に関する資料1,058点からなる。書籍、フィールドノート、写真、地図、調査票などが含まれる。角田が農村舞台の共同研究者に呼びかけて収集した資料を含む。 日本の農・山・漁村には、鎮守の社などに舞台が設けられ、村人によって歌舞伎や人形浄瑠璃が上演されていた。こうした舞台を「農村舞台」と名付けて本格的な研究を始めたのは松崎茂(1931–1964)であり、その論文は『日本農村舞台の研究』(1967)としてまとめられた。さらに文部省科学研究費補助金・出版助成金による共同研究が組織され、全国的調査の報告書『農村舞台の総合的研究:歌舞伎・人形芝居を中心に』(角田一郎編、1971)が刊行された。その後、農村舞台の研究として竹内芳太郎(1897–1987)の『野の舞台』(1981)、景山正隆(1922–)の『愛すべき小屋:村芝居と舞台の民俗誌』(1991)、角田一郎編集による『農村舞台探訪』(1994)などが出版されている。 角田一郎は早稲田大学国文科を卒業し、龍谷大学教授、帝京大学教授などを歴任。近世の演劇史、特に浄瑠璃についての研究を進め、著書に『人形舞台史』(1976)、『人形劇の成立に関する研究』(1963)などがある。 本文庫の目録が『近松研究所紀要』(第3号、1992)に「角田文庫(農村舞台関係資料)目録」として収録されている。
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