海藻学者の岡村金太郎(おかむら きんたろう、1867–1935)が専門の海藻学研究のかたわら収集した往来物1,857冊からなる。 往来物は平安後期から明治中期にかけて用いられた初等教科書の総称である。もともとは往復書簡の体裁をとっていたため往来物と呼ばれたが、江戸時代になると書簡の体裁に限らず寺小屋の教科書はすべて往来物と呼ばれようになった。寺小屋の普及とともに種類も出版部数も飛躍的に増加し、学校教育が普及する明治中期まで作られた。本文庫では江戸時代を中心に1890(明治23)年教育勅語発布の年までに発行された往来物が収集されており、江戸時代の庶民教育および通信の研究に有益な資料を提供している。 岡村金太郎は東京帝国大学理科大学植物学科を卒業。農商務省(のち農林省)水産講習所教授および所長、日本水産学会会長などを歴任し、日本の海藻学の祖と呼ばれた。 本文庫の目録として岡村金太郎編纂の『往来物分類目録』(1925)と、マイクロフィルム版の目録『岡村金太郎蒐集往来物分類集成収録書目録』(1987)が作成されている。なお、岡村金太郎の海藻学に関する蔵書は東京海洋大学に所蔵されている。
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