江戸時代後期の北方探検家、近藤重蔵(こんどう じゅうぞう、重蔵は通称、名:守重 もりしげ、1771–1829)の著書および収集史料約760点(和書)が収蔵されている。内容は著述稿本、文書、記録、書状、考証資料、地図・絵図など多岐にわたる。 近藤重蔵は幕府与力の子として江戸に生まれた。1798年幕府の蝦夷地調査隊に加わり、択捉島に「大日本恵登呂府」の標柱を建てた。翌年東蝦夷地が幕府の直轄になると択捉掛に任命され、1800年再び択捉に渡り、同島の開発に尽力した。1808年書物奉行に任命され、江戸城の紅葉山文庫(もみじやまぶんこ)の管理運営や古書・漢籍の研究を行った。1826年長男の富蔵(とみぞう、1805–1887)が殺傷事件を起こすと改易され、近江国大溝藩に預けられて、1829年病没した。編著として金銀貨幣の図録『金銀図録』、江戸時代の法令集『憲教類典』、1601~1779年における江戸幕府と諸外国との往復書簡・文書を収録した『外蕃通書』などがある。 本蒐書は1992年に重要文化財(歴史資料)に指定され、目録として『近藤重蔵関係資料目録』(文化庁文化財保護部美術工芸課、1992)が刊行されている。また蝦夷地関係の史料は『近藤重蔵蝦夷地関係史料』(東京大学史料編纂所編、1984–1993)としてまとめられている。1933年に購入され、史料編纂所図書室に所蔵されている。
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