第二次世界大戦後の1949年にドイツの主要組合を結集して成立したドイツ労働総同盟(略称DGB)の旧蔵資料の一部である。1900年代初頭から1970年代にいたる帝政期、ワイマール期、ナチス期を経て第二次世界大戦後に及ぶドイツ、ヨーロッパの政治・経済・労働関係の記録集・研究書・報告書など6,909点(洋書)が収蔵されている。ドイツの古くからの労働組合資料が多数収められており、ザッセンバッハ文庫の一部も含まれている。 ザッセンバッハ文庫の旧蔵者ヨハン・ザッセンバッハ(1866–1940)は、もと馬具職人で、馬具職人の組合委員長、労働組合総委員会役員などを経て、1920年代に国際労働組合連盟の書記や総書記を務めた。組合や社会政策の文献収集家としても有名であり、収集した資料をもとに『Verzeichnis der in deutscher Sprache vorhandenen gewerkschaftlichen Literatur』(ドイツ語組合文献目録)を刊行した。しかし、1933年にナチスが政権を握ると蔵書は没収され、ナチス解体の際に散逸し、戦後に再建されたドイツ労働総同盟は、その一部のみ入手することができた。 本文庫は1982~1983年に書店より購入され、目録として『東京大学社会科学研究所所蔵ドイツ労働総同盟旧蔵文書目録:略称DGB文書』(1989)が刊行されている。