西洋史学者の山中謙二(やまなか けんじ、1893–1974)の旧蔵書の一部である。15世紀のボヘミア(チェコ語:チェヒ、ドイツ語:ベーメン、現在のチェコ共和国西部)におけるフス派の教会改革運動に関する貴重な文献を中心に、宗教改革史や中世ヨーロッパ史の基本的・古典的研究書112冊(洋書)が収蔵されている。 フス派とは、ボヘミアの宗教改革者ヤン・フス(1370頃–1415)の教えに従って結成されたキリスト教派で、その教会改革運動はプロテスタントの宗教改革の先駆けとなった。フスが異端者として処刑されると、支持者らは神聖ローマ皇帝や教会に対して反乱を起こし、一部ではチェコ民族主義と、また一部では農民や市民の反封建闘争と結びついた。 山中謙二は1918年東京帝国大学西洋史学科を卒業。1927~1929年ドイツに留学し、ベルリン大学とハイデルベルク大学で学んだ。東京帝国大学文学部講師・助教授を経て1938年教授に就任、1950年定年退官した。フス派の運動に関する研究に力を注ぎ、その成果を『フシーテン運動の研究:宗教改革前史の考察』(1947)としてまとめた。 本文庫は文学部西洋史学研究室に所蔵されており、カード目録が作成されている。
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