チベット仏教学者の多田等観(ただ とうかん、1890–1967)が請来したチベット大蔵経である。 チベット大蔵経はチベット語に訳された仏典の集大成であり、カンギュル(仏説部)とテンギュル(論疏部)から構成される。作成された場所や寺などによって、ラサ版、デルゲ版、ナルタン版などの各版がある。東京大学文学部印度研究室では、多田等観請来のラサ版カンギュル、デルゲ版テンギュル、ナルタン版テンギュルを収蔵している。ラサ版の目録として『東京大学所蔵ラサ版チベット大蔵経目録』(1965)があり、デルゲ版の影印版が『チベット大蔵経:デルゲ版 東京大学文学部所蔵』(1977–1981)として刊行されている。ナルタン版の目録はない。 なお、多田等観がチベットから請来した資料はこのほか、「チベット蔵外文献」が東京大学文学部インド哲学仏教学教室に、「西蔵大蔵経」が東北大学に、その他資料が疎開先の花巻市に収蔵されている。多田等観の略歴は東北大学附属図書館「西蔵大蔵経」の項を参照されたい。また、河口慧海(かわぐち えかい、1866–1945)がチベットより請来したチベット語大蔵経のナルタン版テンギュルは、東京大学総合図書館に所蔵されている。
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 Tel.: 03-5841-3754 Fax: 03-5841-3754 http://www.l.u-tokyo.ac.jp