時実文庫（時実利彦）

　大脳生理学者の時実利彦（ときざね　としひこ、1909–1973）の旧蔵書である。神経生理学、中枢神経分野を中心とした医学関係の洋書362冊からなる。
　時実利彦は1934年に東京帝国大学医学部を卒業。1951年日本で初めて筋電計を設計・試作し、のち日本筋電図学会を創始した。1954年東京大学助教授となり、米国留学を経て、1956年東京大学医学部附属脳研究施設教授に就任（のち施設長）。実験脳生理学の手法を日本に紹介して大脳生理学の権威となった。1967年京都大学霊長類研究所教授を兼任。1968年和田寿郎（わだ　じゅろう、1922–）により行われた日本初の心臓移植手術を契機に、日本脳波学会に「脳波と脳死に関する委員会」が設定され、時実は同委員長として1970年脳死判定基準をまとめた。著書に『脳の話』、『脳と人間』などがある。