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鴎外文庫(森鴎外)

 森鴎外(もり おうがい、本名:林太郎 りんたろう、1862–1922)旧蔵の和漢書15,924冊、洋書2,681冊からなる。内容は、伝記、歴史、武鑑(江戸時代に刊行された大名・幕府役人の名鑑)、江戸地図、西欧文学書など多岐にわたる。
 森鴎外は、軍医として最高位の陸軍軍医総監、陸軍省医務局長にのぼりつめた一方で、公務のかたわら小説・評論・翻訳を多数執筆し、多方面において活躍した近代日本の代表的知識人である。東京大学医学部を19歳で卒業して陸軍軍医となり、1884(明治17)年から1888年まで足掛け5年ドイツに留学した。ベルリン、ライプツィヒ、ドレスデン、ミュンヘン、カールスーエなどの生活を体験し、帰国後は、医学と文学の両面にわたって旺盛な啓蒙活動を行った。留学体験をもとに書かれた小説『舞姫』(1890、ベルリンが舞台)、『うたかたの記』(1890、ミュンヘンが舞台)、『文づかい』(1891、ドレスデンが舞台)は雅文体で書かれ、ドイツ3部作といわれている。一時小倉に左遷されたが、その間にハンス・クリスティアン・アンデルセン(1805–1875)の翻訳書『即興詩人』(1892–1901)を完成。1907(明治40)年に陸軍軍医総監陸軍省医務局長に就任後は活発な創作活動を再開し、後年には歴史小説に新たな境地を開拓した。他の著書に『ヰタ・セクスアリス』(1909)、『青年』(1910)、『妄想』(1911)、『雁』(1911)、『興津弥五右衛門の遺書』(1912)、『阿部一族』(1913)、『山椒大夫』(1915)、『高瀬舟』(1916)、『渋江抽斎』(1916)など多数。
 本文庫は1923年の関東大震災後、東京大学の図書館復興のため、森鴎外の女婿で、当時総合図書館司書官であった山田珠樹(やまだ たまき、1893–1943)の尽力により寄贈された。目録として『鴎外文庫目録(和漢書之部)』と『鴎外文庫目録洋書之部』が作成されている。なお、東京大学に寄贈されたのは、鴎外の旧蔵書全てではなく、明治文学関係は夫人の妹に譲渡され、一部の現代文学等は、遺児たちの手元に残された。また、医学関係書は、陸軍を退く際に陸軍医学校に寄贈された。
 鴎外の記念館としては、鴎外が1892年から1922年に亡くなるまで過ごした東京の家の跡地に鴎外記念室(文京区立鴎外記念本郷図書館内)が、10歳まで過ごした生家(国指定史跡)に隣接して森鴎外記念館(島根県津和野町)が開設されている。さらにベルリンにはフンボルト大学日本研究センターが担当している森鴎外記念館がある。

<http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/tenjikai/tenjikai95/bnk/ohgai.html>

事項:

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専門分野:

政治史学 文学

所蔵機関:

東京大学総合図書館

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