松田道雄文庫

　小児科医、評論家の松田道雄（まつだ　みちお、1908–1998）の旧蔵書のうち、ロシア史関係の文献約2,000冊が収蔵されている。ロシア革命前後からスターリン体制期を中心に、ロシアの歴史、政治、社会史、ヨーロッパ諸国の社会思想・革命運動史の図書が含まれている。所蔵冊数の内訳は、和書29冊、ロシア語図書約170冊、ロシア語以外（英・独・仏）の洋書1,767冊である。
　松田道雄は1932年に京都帝国大学医学部を卒業。京都市の健康相談所などに勤務し、結核患者の救済に取り組んだ。第二次世界大戦後は小児科医を開業するかたわら、評論家としても活躍し、医療、育児、教育から社会・政治問題まで幅広い分野で発言した。1967年刊行の『育児の百科』は約30年にわたり毎年改訂を続け、1999年に『育児の百科：定本』として刊行された。一方、ロシア革命史の研究者としても知られ、『ロシアの革命』（1970）などの著書がある。
　松田潤（まつだ　じゅん）による文庫の紹介「札幌大学図書館松田道雄氏旧蔵ロシア史関係コレクションについて」と目録「札幌大学図書館所蔵『松田道雄文庫』簡略図書目録」が『札幌大学女子短期大学部紀要』（第36号、2000年11月、57–87頁、89–192頁）に収録されている。なお、松田道雄の蔵書は札幌大学のほか、熊本学園大学に約2万冊、立命館大学と上智大学にも一部が所蔵されている。