山中散生コレクション

　詩人の山中散生（やまなか　ちるう、1905–1977）旧蔵の和書2点、洋書195点からなる。著書『シュルレアリスム資料と回想：1919–1939』（1971）に使用された資料が収蔵されており、シュルレアリスト（超現実主義者）たちの署名入り初版本、書簡、葉書、自筆原稿、雑誌などが含まれる。
　山中散生はNHK（日本放送協会）名古屋放送局に勤務するかたわら、詩人として活躍し、1929～1930年には詩誌『CINE』を主宰。ポール・エリュアール（1895–1952）やアンドレ・ブルトン（1896–1966）らフランスのシュルレアリストと交流があり、彼らの著作を翻訳するなど、日本におけるシュルレアリスム（超現実主義）運動の推進者として国際的に知られた。ブルトンとエリュアールの『シュルレアリスム簡約辞典』（1938）に「超現実主義の詩人にして作家、日本におけるこの運動の推進者」として山中散生が紹介された。
　慶応義塾大学経済学部教授の横部得三郎（よこべ　とくさぶろう、1898–1984）が山中散生のフランス語の師であったという縁で、山中の没後、慶応義塾大学が旧蔵書を譲り受けた。展示会目録『山中散生コレクション展―1920～30年代フランスの前衛芸術―展示品目録』（慶応義塾大学三田情報センター）が作成されている。