金原文庫（金原賢之助）

　経済学者の金原賢之助（きんばら　けんのすけ、1897–1959）の旧蔵書で、経済、金融関係の和書4,304冊、洋書3,461冊（英文1,660冊、独文1,543冊、仏文258冊）からなる。第一次世界大戦と第二次世界大戦との間にはさまれた時期の金融論、貨幣論の内外文献が体系的に集められており、収集範囲は広く経済学、経済施策全般にわたっている。
　金原賢之助は1921年慶応義塾大学理財科を卒業後、同大学助手となり、1925年から1928年までドイツとイギリスに留学。1929年教授に就任し、のち経済学部長を務めた。1951年慶応義塾常任理事として商学部設立に尽力し、1957年商学部教授、商学部長となった。専門は金融論、貨幣論であったが、研究領域は外国為替論、国際金融論、物価論から経済思想、マルクス主義批判にまで及んだ。著書に『世界経済の動向と金本位制度』、『外国為替・金・銀』などがある。また、訳書にエドゥアルト・ベルンシュタイン（1850–1932）の『マルクシズム批判：社会主義の前提と社会民主党の任務』（1899、邦訳1926）をはじめ、アーヴィング・フィッシャー（1867–1947）、カール・グスタヴ・カッセル（1866–1945）、フーゴー・ミュラー（1888–1951）の主著の翻訳がある。
　本文庫の目録として『金原文庫目録』（1962）が刊行されている。