西洋史学者で元・京都大学名誉教授の中原与茂九郎(なかはら よもくろう、1900–1988)の旧蔵書で、アッシリア学関係の洋書301冊が収蔵されている。古代の西アジア研究に有用な資料である。 アッシリアは、紀元前2千年初めにティグリス川中流域のアッシュールから興ったセム人の国家である。紀元前15世紀に一時ミタンニ王国に服属したが、やがて独立を回復し、紀元前7世紀前半にエジプトからメソポタミアにかけてのオリエントを統一し、紀元前609年に滅亡した。アッシリア学とは、アッシリア人を含め、楔形文字を使用した諸民族の文化と歴史を研究する学問であり、シュメール人、アッカド人(バビロニア人)、アッシリア人、エラム人、フルリ人、ヒッタイト人、ウラルトゥ人、ウガリト人なども包括される。メソポタミアの発掘で最初に知られるようになったのが、アッシリアの遺跡とアッシリア語であったため、広範な学問領域がアッシリア学と呼ばれている。1857年にイギリスの王室アジア協会が4人の学者にアッシリア語碑文を別々に翻訳させ、その解読結果が一致したことを確認し、アッシリア学が公式に誕生した。 本文庫の目録として『中原文庫目録』が作成されている。
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