藤原北家の嫡流で、五摂家の筆頭であった近衛(このえ)家に伝来した典籍3,150冊からなる。明治から大正にかけて、近衛家本が京都大学に寄託されていたが、1938(昭和13)年に近衛文麿(このえ ふみまろ、1891–1945)が近衛家伝来の典籍・文書等の保管のために財団法人陽明文庫を設立したのに伴い、京都大学への寄託本が陽明文庫に返還された。その際に一部が京都大学に寄贈書として残され、近衛文庫となった。内容は漢籍を中核とし、五山版の稀覯書や中国地方誌がみられる。一部和本も収められており、『宇津保物語』、『大鏡』、『源氏物語抄』等の古写本が含まれる。 近衛家は、平安末期の藤原忠通(ふじわらの ただみち、1097–1164)の嫡男基実(もとざね、1143–1166)を祖とし、陽明門の近くに住んでいたため、別名「陽明」とも称した。代々、摂政、関白の要職につき、好学の人物を輩出した。明治維新後は公爵となり、昭和期には近衛文麿が3次にわたって首相を務めた。 本文庫の目録が図書館ホームページに公開されている。
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