中国文学者の増田渉(ますだ わたる、1903–1977)の旧蔵書で、中国近代文学や魯迅(ろじん、1881–1936)に関する和漢・洋書約16,000冊が収蔵されている。魯迅の全著作の初版本をはじめ、各種異版のほとんどが網羅されているほか、魯迅に関する多数の参考文献が収められている。さらに、魯迅を生んだ背景としての中国近代化や東西交渉史に関する文献が豊富に含まれている。 増田渉は東京帝国大学文学部支那文学科を卒業後、1931年上海に遊学中に魯迅から個人教授を受けた。帰国後、佐藤春夫(さとう はるお、1892–1964)との共訳『魯迅選集』(1935)や『中国小説史略』の邦訳(1935)をはじめ、魯迅の著作を多数翻訳し、魯迅文学の日本への紹介に大きく貢献した。第二次世界大戦後は島根大学、大阪市立大学、関西大学の各教授を歴任。著書に『魯迅の印象』(1948)、『中国文学史研究:「文学革命」と前夜の人々』(1967)などがある。 本文庫の目録として『関西大学所蔵増田渉文庫目録』(1983)が刊行されている。
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