教育学者の梅根悟(うめね さとる、1903–1980)が収集したチェコの教育思想家ヨハン・アーモス・コメニウス(1592–1670)に関する資料236点からなる。コメニウスの主要著作の重版および復刻版を中心に構成されている。退官を記念して梅根から寄贈され、1967年に文庫が設置された。梅根が個人的に学生時代から収集してきた資料と、東京教育大学(筑波大学の前身)教授として公費で購入した資料の双方を含んでいる。コメニウス関係のコレクションとしては世界的にも有数のものであり、教育思想史研究の貴重な資料である。 コメニウスは、オランダのヘルボルン大学、ドイツのハイデルベルク大学で神学、哲学などを学んだのち、ボヘミア同胞教団の牧師を務めていたが、1621年に三十年戦争が勃発すると、国外に逃亡。生涯ヨーロッパ各国を流浪し、オランダのアムステルダムで亡くなった。彼は知識を通してすべての人々の生活を神に近づけるという、汎知主義の教育思想を唱え、近代的な学校制度、教育課程、教育技術・方法を提唱した。著書に『大教授学』(1657)、世界で最初の子供のための絵入り教科書『世界図絵』(1658)などがある。 本文庫の目録として『コメニウス文庫蔵書目録』(1961)が刊行されている。また、目録が図書館ホームページに公開されている。
〒305-8577 茨城県つくば市天王台1-1-1 Tel.: 029-853-6051 Fax: 029-853-6021 http://www.tulips.tsukuba.ac.jp