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大総文庫

 近世から近代まで続いた日本屈指の貸本屋「大惣」(だいそう/たいそう)の旧蔵書2,132冊(和書)からなる。
 大惣は、屋号が大野屋で、その主人が代々惣八を襲名したため、「大野屋惣八」または「大惣」と呼ばれた。1767年に名古屋に開業してから、1899(明治32)年に廃業するまで約150年間貸本屋を営み、その蔵書数は2万部以上といわれた。武士階級をはじめ一般庶民までが広く利用し、町人の文庫として親しまれた。学者、文人らの利用も多く、小説家・劇作家の坪内逍遥(1859–1935)は、少年期に大惣の貸本により読書が培われたと回想している(「少年期に観た歌舞伎の追憶」『逍遥選集』第12巻)。
 大惣の旧蔵書は現在、東京大学(東京大学では「大総文庫」と称されている)、京都大学、筑波大学、早稲田大学、国立国会図書館などに分散して所蔵されている。大惣本の分散の経緯や目録に関しては、『大惣蔵書目録と研究:貸本屋大野屋惣兵衛旧蔵書目』(柴田光彦編著、1983)に詳しい。東京大学の大総文庫は1923年の関東大震災で大半が目録とともに焼失した。ただし、文学部国語研究室に保存されていた大総文庫の一部が焼失を免れ、歌舞伎台帳(書名あ~す)、浄瑠璃本、噺本(咄本)等が現存する。目録が「大総文庫院本目録」「大総文庫歌舞伎台帳目録」「大総文庫噺本目録」として『東京大学文学部国語研究室所蔵古写本・古刊本目録』(1986年、177–214頁)に収録されている。なお、焼失した歌舞伎台帳(書名せ~わ)の主要な書目については「国語研究室焼失主要書目録」として『国語と国文学』(1巻3号、1924年、100–102頁)に掲載されている。

<http://www.l.u-tokyo.ac.jp/lib/search.html#bunko>

事項:

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専門分野:

文学

所蔵機関:

東京大学文学部国語研究室

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