ハーウッド文庫（ハーマン・ハーウッド）

　20世紀初頭にニューヨークで公認会計士事務所を開業していたハーマン・ハーウッドの旧蔵書で、15世紀末から20世紀前半にかけて出版された会計学、簿記に関する著書1,320点1,355冊が収蔵されている。19世紀までの重要な文献はほぼ網羅されており、英語の文献を中心に、ヨーロッパ各国語の文献が集められている。明治初期の日本語の翻訳書も含む。久留米大学商学部が2000年の学部創設50周年を記念して、世界的にも著名なハーウッド文庫を購入した。
　ハーウッドは、会計史とその開拓期の人々の知識に関心を持ち、精力的に資料を収集した。亡くなる直前の数年間をバルチモアで過ごしたハーウッドから、その蔵書を遺贈されたバルチモア大学図書館は1971年に「ハーウッド文庫」を創設した。その目録は1938年に『The Herwood Library of Accountancy. A catalogue of books printed between 1494 and 1900 in the Herwood Library of Accountancy』として出版されており、1980年にはニューヨークのアルノ・プレス社より復刻された。
　文庫には、1494年にヴェネチアで出版され、最初の簿記書として知られているルカ・パチオリの『算術・幾何・比および比例総覧』、福沢諭吉（1834–1901）が当時米国で広く用いられていた教科書『Common school book-keeping』（H.B.ブライアントとH.D.ストラットンの共著、1871）を翻訳した『帳合之法』（1873）などが含まれている。目録として『ハーウッド文庫目録：久留米大学商学部創設50周年記念』（1997）が刊行されている。