チェンバレン・杉浦文庫（バジル・ホール・チェンバレン、杉浦藤四郎）

　英国の言語学者、日本学者バジル・ホール・チェンバレン（1850–1935）と杉浦藤四郎（すぎうら　とうしろう、1883–1968）の旧蔵書から構成され、洋書1,245冊、和書260冊、書簡等が収蔵されている。内容は、文学を中心に、歴史、地理、経済、天文など多岐にわたる。チェンバレンによる英訳『古事記』（1883）のほか、シェイクスピア（1564–1616）、サッカレイ（1811–1863）、ディケンズ（1812–1870）などの文学書の全集が含まれる。書簡は1908年から1934年にかけてチェンバレンが杉浦に宛てたものが大部分である。
　チェンバレンは1873（明治6）年に来日し、海軍兵学寮教授を経て帝国大学（現・東京大学）教授を務めた。1911年に英国に帰国するまで約40年間、日本に滞在。この間、日本文学・日本語を研究し、日本の文学を英訳して海外に紹介した。杉浦藤四郎は愛知県岡崎市の出身で、市会議員などを務めた。チェンバレンと交流があり、彼の数度の渡欧に同行した。1917年に杉浦は、スイスに閑居していたチェンバレンから英文と日本文の蔵書を譲り受けた。
　本文庫の目録として『B.H.Chamberlain文庫目録』（1990）と『チェンバレン・杉浦文庫書簡目録：改定版』（1992）が刊行されている。