旧薩摩藩主の島津家に伝えられた平安時代から幕末維新期にいたる中・近世文書17,000点余(和書)からなる。 島津家は鎌倉時代から江戸時代まで九州を支配した有力大名であった。鎌倉時代に薩摩、大隅、日向の3国の守護に任命され、戦国時代に一時九州全域に勢力を拡大するが、豊臣秀吉(1537–1598)に敗れ、秀吉に従って旧領を安堵された。江戸幕府成立後は薩摩藩主として有力外様大名の地位を保持。幕末には島津斉彬(しまづ なりあきら、1809–1858)ら討幕の志士を輩出し、明治維新の原動力となった。維新後は華族となり、本家は公爵、5分家は男爵となった。 本蒐書は1957年に島津鑑康(しまず あきやす、1886–1968)から購入したものであり、受け入れ時に黒漆箱・白木箱などの箱に収められていた。このうち黒漆箱に収められていた史料5,579点は重要文化財に指定されている。この中には源頼朝、足利尊氏、織田信長らの文書を収録した『歴代亀鑑』、徳川家康・秀忠・家光らの御内書(ごないしょ、将軍が出す文書)を収録した『国統新亀鑑』などが含まれる。目録として『島津家文書目録』(改訂版、2002)が刊行されている。また、これら史料の一部は『大日本古文書』シリーズの『家わけ第16 島津家文書』(1942、1953、1966)に収録されている。なお、本蒐書とは別に「島津家本」と称される写本類約6,500点、および薩摩藩の史官伊地知季安(いじち すえやす、1782–1867)・季通(すえみち、1818–1901)父子の編纂した『薩藩旧記雑録』362冊が東京大学史料編纂所に所蔵されている。
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